機能性ソックスを探したことがある方なら、一度は見たことがあるはず。
足裏にびっしりと貼り付けられたラバーグリップ。
「滑らない=安全=パフォーマンスが上がる」という印象を受けますよね。
私も開発当初はそう思っていました。
でも、試作品を実際に履いてみて、考えが変わりました。
工場からは「滑り止めをつけましょう」と言われた
タビソックスを開発していたとき、製造工場の担当さんからこんな提案を受けました。
「足底に貼り付け式の滑り止めをつけましょう。スポーツ用はみんなつけてます!」
確かに市場を見渡すと、足底にべったりとラバーグリップが貼り付けられた機能性ソックスが増えていました。アスリート向け、転倒予防向け、さまざまな商品が並んでいます。
それならぜひお願いします!と試作品を作ってもらい、実際に履いてみました。
膝への負担を、ダイレクトに感じた
練習が始まった瞬間こう思いました。
工場長え、こわ・・・
私はもともと膝に問題を抱えています。だからこそ、普通の人より敏感に感じ取れたのかもしれません。足裏が強力に固定されることで、その力が逃げ場を失い、膝へダイレクトに伝わってくる感覚。



これはあかん・・・今日の練習中か、終わってから結構痛みでるやつや。
怖くなり途中で脱いで練習をしました。
もちろん貼り付け滑り止めは却下しました。
「強い人だけ履けるなら意味がない」
強い筋力を持つアスリートや、体の軽い子どもなら、強力なグリップにも耐えられるかもしれません。でも、すでに膝や腰に問題を抱えている人は?リハビリ中の人は?
足裏より「上」にある関節——膝、股関節、腰——は、足裏が強制固定されると、その力を受け止めるしかなくなります。特に怪我をしている部位がある人にとっては、ソックスを履くことがさらなる怪我につながりかねない。
「強い人だけ履けるなら意味がない。」
これがタビソックスの開発において、強固な貼り付けグリップを採用しなかった一番の理由です。



そもそも自分が履けないもの、使えないもの作るなんて嫌すぎる
バスケットボールという、極端な例
私はバスケットボール経験者です。
だからこそ、過剰グリップの問題を身体でわかっています。
バスケットボールは体育館の床(フローリング)で行う競技で止まりたいと思った場所で、必ず止まらなければいけない。それがちょっとでも遅れると勝敗にダイレクトに影響します。
選手なら誰もが経験していると思いますが、練習や、試合前に靴底を雑巾や手でぬぐいますよね。
ほこりを取り除き、シューズ底を完全に止まれる状態にするためです。
なんならそれ専用の道具だって販売されています。
つまり、シューズと床の摩擦はすでに最大化されている。
そこに、さらに強固なグリップソックスを重ねたら何が起きるか。
逃げ場がなくなるんです。
急停止・方向転換のたびに生まれる力が、足首・膝・腰にそのまま集中する。
これは怪我のリスクを高めることにほかなりません。
ソックス工場が見落としていたこと
その結果をソックス工場の担当者さんと話しているとき、ソックスメーカーさんは首をかしげてこういいました。
「みんな滑り止め、つけてくれ、なんならもっと!っていうんですけどね。。。」



なんで、こぞってみんなあんな負荷のかかるものつけたいんやろ…
と、なんとなくサッカーをプレーしているのをイメージしながら考えてたら



あ!そっか!体育館とグラウンドの差やん
ソックス工場さんはそれまでインコート(体育館)競技向けのサポートソックスを、それまで作ったことがなかったんです。(過去の制作実績で聞いてたのはサッカー、野球、テニス、ラグビー)
そして、学生やアスリートから「滑りたくない」という要望を聞いて設計していた、と。
選手の感覚は、一般の人よりは鋭くもありますが半面大いに間違っていることもあります。
「締め付けが強い=サポートされている」と感じていたりするのがそれです。
自分の経験でもありよくわかりますが、無理してやるのことが当たり前になっているのです。
無理を無理とは思ってない。
勝利のためには必要なことだ。くらいに思っています
あとはイメージで「グリップが強い=止まれる」と信じていたり。
感覚は大切ですが、それだけを根拠に設計するのは危険です。
鍛えつつ守るタビソックスは、開発者である私の選手としての感覚だけに頼っていません。足部をきちんと研究していて、一流アスリートのトレーナーを現役でされている専門家の方のご意見も取り入れています。
主観と客観、両方を組み合わせた設計です。



そういう意味では私は自分の感覚を疑って本当にあっているのか確認しているのです。
グラウンド競技の選手にも伝えたいこと
野球・サッカー・ラグビーなど、土や芝のグラウンドで行う競技はどうでしょうか。
グラウンドはもともと滑りやすい環境です。
選手は止まりたい場所を予測し、スピードを調整しながらプレーするはずです。
ここで動きをやめれば、あの辺に止まれると。
ザーと身体が流れている間はシューズ底と地面の間に、自然な「遊び」がある。
だからソックスのグリップが多少強くても、その力は地面との間で吸収されます。
体育館の競技にはその遊びがありませんし、許されません。
バスケットボールはボールを持っている場合は止まる歩数だって制限されています。床がすべってもバイオレーションにで相手ボールになることだってあります。
ずるずるに滑る体育館で練習するなんて、赤木キャプテンに許されるはずもありませんしw
じゃぁ、鍛えつつ守るタビソックスは体育館専用?とと思われるかもしれませんが私は個人的にはグラウンド競技の選手にもこのタビソックスを使ってほしいと思っています。
なぜなら、「ソックスのグリップで止まる」という発想そのものを、見直してほしいからです。
止まれないのは、身体の使い方の問題
タビソックスの編み込みグリップで止まれないとしたら、それは身体の制御が無理な方向に働いているということだと考えています。
本来、正しく身体を使い制御すれば、適度なグリップで十分に止まれます。
過剰な外部のグリップに頼ることは、身体の使い方の問題を「道具」で隠してしまうことになりかねない。一時的には止まれても、長期的には怪我のリスクを高め、身体本来のパフォーマンスを引き出せなくなる可能性があります。
タビソックスが選んだ編み込みゴムの適度なグリップは、身体の自然な動きを引き出すための設計です。足を固定するのではなく、足が正しく使えるようにサポートする。それが「鍛えつつ守る」というコンセプトの核心です。
ソックスで怪我をする人をゼロにしたい
私がタビソックスを作るときに、最初に決めたことがあります。
「このソックスがゆくゆくの怪我つながっていくことがないようにしたい」
足を守るために作ろうとしているソックスが、知らず知らずの怪我のかくれ要因になってはいけない。
じわじわ負担がたまり壊れていく系の怪我をしまくっている私だから思うのかもしれませんが
強固な貼り付けグリップを却下したのは、単なる設計の好みだけではありません。
この信念から来た判断です。



履いて靴擦れした、外反母趾が痛くなったとかはまた別の話なので別の記事できちんと書きます。(それってソックスのせいだけ?)
まとめ
- 強力なグリップは膝・腰など足より上の部位に過度な負担をかける
- シューズが履きにくくなる実用上の問題がある
- フローリングなどでかえってつまずきやすくなる逆説的な危険がある
- 体育館競技では床・シューズ・ソックスの摩擦が重なり逃げ場がなくなる
- 選手の「滑りたくない」という感覚だけで設計することの危険性がある
- 「強い人だけ履けるなら意味がない」という開発哲学
タビソックスの編み込みグリップで止まれないなら、それは身体の使い方を見直すサイン。道具に頼るのではなく、身体が正しく使えるようになることを、鍛えつつ守るタビソックスはサポートします。
競技の種類を問わず、すべての人が安全に、そして長く動き続けられるために。それがGRIN FACTORYのタビソックスです。
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